映画「鈍獣」を観ました。
監督はもともとCMとかそっち方面の畑を耕していた方だそうで、映画はこれが初とのこと。
いやあ、恐るべき才能の持ち主です。
これだけのキャストとスタッフを揃えておきながら、ここまでクソな映画を作れるんだから。
忙しい日常に追われている方にはピッタリなんじゃないでしょうか。
時計が止まってしまったんじゃないかと錯覚させる程に時間はゆるやかに流れ、波のない展開は執拗なまでにあなたを眠りの世界へといざないます。
これが 「永遠」 というやつなのか、そう何度も感じさせられました。
この映画で一番素晴らしかったのは、なんといっても予告篇です。
作品の見どころを余すところなく見せ、本当にそれ以外には見どころも内容も全くないという徹底ぶりです。
これさえ見れば映画館に足を運ぶ必要など全くございません、そんな親切設計になっています。
予告篇に全てをかけた制作者の意気込みが伝わってきますね。
いやあ、ホント僕にとって忘れられない映画になりそうです。
…本当に、観終わってここまでぐったりして残念な気持ちにさせられたのは久々、「キサラギ」以来ですね。
というかかなりの怒りを覚えました。
人には向き不向きがある
ということをこの監督さんには重々痛感していただいて、お互いに痛い目をみないためにも、今後は自分に見合った世界で頑張っていただきたいと思います。
この作品の主人公と違って、映画を観る一般人は「苦痛」というものを感じるんです。
というかキャッチコピーにある 「世界一鈍いアイツ」 というのはご自身のことだったんですね。
おちゃめな方です。
ちゃんとした人が演出をつけて、舞台でやれば、面白くなりそうな雰囲気は感じました。
まぁ、元の舞台が評判良かったから映画化したんでしょうけど、そもそもスクリーン向きではない素材だった気はします。
ただ、ここまで清々しいほどに交じりっ気のない愚作に仕上がったのは、完全に演出の力量でしょう。
なんかクドカンがすべったみたいな感じにもなっちゃってるんで、監督は彼にも可及的速やかに謝ってもらいたいです。